「ねえ、なんか嘘吐いてよ」
女性が話した。言われた男性は驚いたように女性を見る。
「…急だなあ」
二人は部屋にいた。二人とも高校生のようで制服を着ている。
「だってさ隆、今日はエイプリルフールだよ?」
隆と呼ばれた高校生の男性、武久隆はカレンダーを見る。ただ、カレンダーはまだ3月のままであったが。
「そうだなぁ。この部屋の外は実は宇宙で、僕達がいるこの部屋は宇宙船なんだよ」
ものすごく突飛なことを言われた高校生の女性、真野香菜が目を丸くする。
「変な嘘、隆は嘘吐くのヘタだね」
香菜が笑う。隆はムッとして窓の方を見る。
「香菜が嘘吐けって言ったのに」
窓の外では木々が揺れている。今日は快晴で、空が青い。確かにこの部屋が宇宙船な訳がないのかもしれない。
「…まあ、確かに無理があったね」
隆はそう言って、本棚にしまってあった本を手に取る。
「もっと楽しい嘘にしてよ」
また難しそうな本読んでるし、と香菜が覗き込む。